「人は自然界の一部」
東洋医学の考え方の基本は、古代中国の哲学思想に始まります。
その考えは天地間の自然現象も、人間の生理現象もすべて「氣」によって生まれ、
同一の原理によって支配されているという「天人合一」という思想です。
この思想に基づき、自然界の現象を大宇宙、人間の生理現象を小宇宙とし、人間もまた自然界の一部であると考えたのです。
古代中国哲学は、その思想をより確かなものにするべく、さまざまな学説を組み立てていくわけですが、
今回は東洋医学と関係深い『陰陽論』について説明します。
「陰陽論とは」
「陰陽論」は、「自然界のさまざまな物事と変化は、その物事の内部に存在する対立するものの働きによって生じる作用である」と考え、
その相対するものを「陰」と「陽」に分けました。
例えば、一日を一つのものと考えてみると、昼の太陽が出ている間は「陽」であり、それとは反対に夜は、「陰」と分けられます。
「陰陽」は絶対的な概念ではなく、一日の中に朝や夕方などの時の流れ(陰陽の移り変わり)があるように、
「陰」と「陽」は、対立しながらも互いに依存しあい、消長していくことで一日の日のバランスを保っているのです。
「人の陰陽と鍼灸」
先にも述べたように「人間は自然界の一部」であり、自然界と同じように人にも「陰陽」が存在します。
例えば、人間の内臓はその性質や働きに応じて「陰」に属するものと「陽」に属するものに分けられます。
さらに詳しく述べると「※五臓六腑にしみわたる・・・」という表現の中の五臓は「陰」の性質を持った臓器であり六腑は「陽」の性質を持っています。
つまり、人間も自然界と同じく「陰」と「陽」の相互作用により正常な生命活動が行われ、その相互関係に乱れが生じ、
バランスが崩れてしまった状態が「病気」という事になるのです。
鍼灸は「ツボ」をつかい、その崩れてしまったバランスをもう一度、正常な状態に戻すための大切な治療手段としてとても有効です。
※五臓・・・肝・心・脾・肺・腎
六腑・・・胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(三焦とは、東洋医学的な考え方で、機能としての存在です。)