東洋医学の考え方では、同じ症状でもその人の体質によって治療法の組み立てが少しづつ違うのです。
この組み立ての考え方は、3つの要素から身体をとらえるのを基としています。
それは、「熱・寒」「気・血・水」「臓腑(ぞうふ)」に分類されています。
「臓腑」の臓は 肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)で構成され五臓(ごぞう)と呼ばれています。
今回はこの五臓から『肺の臓』について説明いたします。
肺(はい)・・・東洋医学が教える「肺」の機能は次の通りです。
- 気(エネルギー)を身体に取り入れたり、外に発散させたりする。
・・・肺は、現代で言う肺と同様に、空気(天からのエネルギー)を取り入れ、全身をめぐらし発散させたり収めたりする。 - 呼吸・皮膚・鼻・大腸と関係が深い。
・・・肺の働きが弱ると、風邪、鼻炎、ぜんそく、皮膚炎など、様々なアレルギー症状が現れる。
さらに、大腸と関係が深いので肺が弱ると、便秘、下痢などの症状を起こしやすくなる。
大腸の症状を改善することはアレルギー体質の改善につながる。 - 肺は乾燥を嫌う。
・・・乾燥は肺に負担をかける。
- 体内の水分を調節する。
・・・肺が弱ると痰が増えたり、むくんだりする。
自分のタイプをチェックしてみましょう
下記のチェック項目に印を付けた場所が半分を超えたら自分のタイプです。
肺の臓が不調になっているタイプ
- 咳がよく出る・ぜんそく気味
- 風邪をひきやすい・寒がり
- 肌がカサカサして潤いがない
- 呼吸が苦しい・息切れしやすい
- のどの調子が悪い(腫れる・乾燥する・異物感)
- 皮膚が弱い・皮膚に異常が出やすい
- アレルギー体質・アレルギー症状が出やすい
- 鼻がつまる・鼻水が出やすい
- 顔色が青白っぽい
- 尿が出にくい・むくみやすい
- 体毛が濃い・濃くはないが産毛が多い
- 痰が絡む・痰がよく出る
- 下痢または便秘の傾向がある
- キイキイと叫ぶような声で話す
- 辛いものがとても好き、または、とても嫌い
- 秋や冬の乾燥状態のときに症状が悪化する
- 臭覚に異常が出やすい
- 呼吸器系に異常が出やすい
養生法
- 息をゆっくり長く吐くと、肺の働きがよくなります。
- いっぺんに大量の水分の取りすぎは、肺に負担をかけます。
ゆっくりと味わって飲むのがよいでしょう。 - 肺は大腸の働きと関係が深いので、便秘や下痢の改善を心がけましょう。
- 乾布摩擦は肺に効果的です。特に左右の肩甲骨の間は念入りに。