東洋医学の考え方では、同じ症状でもその人の体質によって治療法の組み立てが少しづつ違うのです。
この組み立ての考え方は、3つの要素から身体をとらえるのを基としています。
それは、「熱・寒」「気・血・水」「臓腑(ぞうふ)」に分類されています。
「臓腑」の臓は 肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)で構成され五臓(ごぞう)と呼ばれています。
今回はこの五臓から『脾の臓』について説明いたします。
脾(ひ)・・・東洋医学が教える「脾」の機能は次の通りです。
- 飲食物を全身に運び、栄養を吸収し必要な臓腑へ送る。
・・・消化器系全体(胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓)の働きを持っている。
さらに、消化・吸収・輸送を調整し、栄養分を必要な臓器に振り分ける。 - 血を調整する。
・・・血液や栄養を血管内にとどめ、必要に応じて運行させる。
弱ってくると不正出血や内臓下垂などを起こす。 - 四肢・筋肉・脂肪・唇と関係が深い。
・・・脾の働きが弱ると、手足の脱力感や倦怠感が現れ、むくんで太る。
または萎えて痩せる。
唇は青白くなり、つやを失う。
- “思”の影響を受けやすい。
・・・脾が弱ると、悩みやすく、くよくよしやすい。
自分のタイプをチェックしてみましょう
下記のチェック項目に印を付けた場所が半分を超えたら自分のタイプです。
脾の臓が不調になっているタイプ
- 食欲不振・過食気味
- 胃が重い・消化不良を起こしやすい
- 内臓の下垂(胃下垂・脱肛・下宮下垂)
- 胃や腸がチャプチャプする
- 下痢や軟便の兆候がある
- 顔や身体が黄色っぽい
- ニキビやおできができやすく、化膿しやすい
- 唾液やよだれが出すぎる、または口が乾きやすい
- 身体がだるい・気力がない
- 筋肉に締まりがない・身体がブヨブヨした感じ
- 思い込みが強い・思い悩みやすい
- 甘いものが異常に欲しくなる、またはとても嫌い
- 唇・口角が荒れる
- 急にムクミ太った、または急に萎えて痩せた。
- 鼻歌を良く歌う・声を出すと調子がいい
- 湿気をとても嫌う・湿気で症状が悪化する
- 栄養吸収の異常(食べても身にならない)
- 消火器の異常(胃や腸の調子をすぐに崩す)
養生法
- バランス良く食べる。偏った食事をしない。
- 食べ物はよく噛んで、胃腸に負担をかけず吸収しやすくする。
- 甘いものは、脾の働きを助けるが、取り過ぎれば逆効果。
- 酸っぱいものの食べすぎは、脾に負担をかけるので注意する。
- よく声を出すように心掛ける。歌でも効果がある。
- おなかを冷やさずに温める。よくほぐすようにマッサージする。