東洋医学の考え方では、同じ症状でもその人の体質によって治療法の組み立てが少しづつ違うのです。
この組み立ての考え方は、3つの要素から身体をとらえるのを基としています。
それは、「熱・寒」「気・血・水」「臓腑(ぞうふ)」に分類されています。
「臓腑」の臓は 肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)で構成され五臓(ごぞう)と呼ばれています。
今回はこの五臓から『肝の臓』について説明いたします。
肝(かん)・・・東洋医学が考える「肝」の機能は以下の通りです。
- 肝は血液を貯蔵する。・・・病院医学と考え方は同じです。
- 肝は体内の毒素を排除する。
情緒に悪影響をあたえる感情因子も排除する。肝が強いと体が丈夫で心が安定しているので「肝っ玉がすわっている」などと呼ばれる。ここで言う「肝っ玉」とは「肝」のことを指します。 - 肝は筋肉を支配する・・・筋肉の疲労回復・筋力・運動を調節している。
肝が不調になると、筋肉が痛み、スジが引きつり身体が痛くなります。 - 肝は眼を支配する・・・肝が不調になると、眼の痛み・かすみ眼・めまい
ドライアイ・視力低下などを起こしやすくなります。
- 肝は情緒を支配する・・・肝が不調になると、物事に驚きやすくなったり
イライラして怒りやすくなったりします。
自分のタイプをチェックしてみましょう
下記のチェック項目に印を付けた場所が半分を超えたら自分のタイプです。
肝の臓が不調になっているタイプ
- イライラする・怒りっぽい・短気
- 胸やわき腹が張って重苦しいことがある
- 眼の異常・・・疲れ・痛み・充血・涙目・乾燥(ドライアイ)・視力低下
- 頭痛・肩コリ・首のコリ・めまい・立ちくらみ
- 寝起きが悪く、倦怠感がある
- 気持が滅入りやすい・うつ傾向
- 爪の異常・・・もろい・変形・割れる・凹凸
- 静脈(あおすじ)が目立つ・アザができやすい
- 口が苦い・べたべたする・嘔吐感
- 筋肉の引きつり・しびれ・けいれん、等が起こりやすい
- 生理不順・生理痛が強い
- 顔色が青っぽい
- 酢っぱい味のものがとても好き、またはとても嫌い
- 春の気候や気圧の変化によって症状が悪化する
- 涙がよく出る・または乾燥する・涙もろくなった
- 肝臓・胆嚢の病気をした
- 自律神経失調・情緒の障害を感じる
- 生理・更年期の諸症状がある
養生法
暮らしの中で自らできること
- 筋肉をゆるめるように心掛ける・・・衣類の締め付けはほどほどに
- 腹式呼吸をする・・・吸うことよりも、息を吐くことを大切にする
- ゆっくりと歩幅を大きめにして歩く・・・ゆっくりとした行動
- 眼を休める・・・眼の疲労は肝の負担を増やす
- 酸っぱいものを食に加える・・・ほどほどの食は肝の働きを助ける